かずはぎ

和紙の原料となる楮(こうぞ)の木は、春から秋にかけて3~4メートルの高さに成長します。
秋の終わり、葉が黄色く色づいて落葉する頃、この木を根元から刈り取って蒸して皮をはぎ、和紙の原料とします。年に一度のこの作業が、カズはぎです。(これは北信地方の呼び方。この地方では一般 に楮のことを「カズ」とよびます。)



畑で栽培したコウゾを刈り取り、束ねます。
コウゾの束は、それぞれの畑から、内山和紙体験の家に運び込まれます。



楮の束を立ててみました。
真中に持っている棒が1メートル。
1年でこんなに成長するのです。



持ち込まれた楮は、横枝などもあるので鎌できれいに払ってゆきます。



選別の終わった束は、1メートルの長さに切りそろえます。
この作業を、玉切りと言います。



玉切りの終わった楮。



体験の家の、五右衛門風呂のような大きな釜に
お湯を沸かします。
カズはぎの時だけ使う、筒状のふたがしてあります。
この中に楮を束のまま立てていれ、1時間ほど蒸します。



蒸し上がった楮。
中の軸が膨張して切り口から飛び出たようになれば
蒸し上がりです。

 



楮を釜から運び出します。
ふかしたサツマイモのような独特のにおいがあふれます。


楮を、車座になって待ち受けるばあちゃん達の
真ん中にドサッと置いて、カズはぎの始まりです。



熱いうちにむかないと、
皮と軸がまたくっついてしまうので、
手早くどんどんむいてゆきます。

 


カズはぎに集まってくれたのは、
内山のばあちゃん達。
毎年この作業を楽しみにしていてくれます。
昔話に花を咲かせながら、手はいっときも休みません。

 



むくときはまず、左手に楮を持って右手で根元をひねります。
すると皮が割れるので、
それを手前に引くときれいに皮と軸がはがれます。
むいた皮を自分の右側に、軸を左側に置いてゆき、
5~6本の皮をひとまとめにして束にします。
くくるのも楮の皮です。

 



束にした皮を軸にかけてゆき、
軒下に並べてつるしてゆきます。

 




体験の家の軒下にずらっと並んだ楮の皮。
雪の季節を待ちます。

 



むいたあとの楮の軸。
この辺ではカズがらと呼びます。
昔は「こんちゃらスキー」と言って
子どもがこの棒の上に乗って、
スキーのように滑って学校へ通ったそうです。

 


年が明けると、次のふしかわ取り・雪さらしの作業が始まります。

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