打解・叩解


ふしひろいがおわって、よく水分をしぼった原料を打解機(だかいき)に入れてたたきます。 コンクリの丸いウスの中の木の部分が回転しながら上下に動いて中のこうぞを叩いてほぐすようになっています。この作業を打解といいます。

かたくしぼった原料を叩き始め、徐々に水分を加えて1時間ほど叩きます。



よく叩いた原料を、「なぎなたビーター」にかけて、水といっしょに撹拌し、繊維が一本一本バラバラになるようにほぐします。
長円形の流しそうめんのような水槽の中に、水と楮を入れてスイッチを入れると丸いドラムの中で刃が回転して水流をまわすようになっています。 この工程を「叩解」と言います。



「なぎなたビーター」の丸いドラムの中には、その名の通 り長刀(なぎなた)のような刃がついていて回転するようになっています。刃はそんなに鋭くなく、楮の長い繊維を「切る」のではなく「ほぐす」のがポイント。

30分ぐらいかけますが、かけすぎると「くくり」が出来るので注意します。



ピンセットでつまんだ、これが「くくり」。
「つりいぼ」とも言います。
細い楮の繊維の両端に、繊維が固まってだんごになっています。これが紙の中にはいると質が落ちるのでなるべく出来ないようにしたいのですが、楮の長い繊維はこれが出来易いのです…。

下手をするとネックレスのようにいくつもじゅずつなぎになっていたりします。



ビーターをかけ終わったら、原料を「漉き舟」に移します。
漉き舟にも「八人こぶり」と呼ばれる撹拌器がついています。くしの歯のような器具が前後に動いて水と原料をよくなじませます。
この作業を「舟をたてる」と言います。このとき、「ネリ」も加えます。「ネリ」のはたらきについては次のページでご説明します。
このたて具合が紙の漉きやすさ、ひいては紙のでき具合に大いに影響するのは言うまでもありません。


舟をたて終わったら、いよいよ紙すきの作業が始まります。

→次の作業「ネリ」について

 

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